SPORTforLIFE

異業種交流で徳島の地方創生へ大自然の恵みで、心豊かな生活を

徳島県海陽町宍喰海岸/高知県東洋町生見海岸で開催されたNSA公認AAランク「四国の右下サーフィンゲームスFor KANSAI WORLD MASTERS GAMES 2021」に参加した新居さん。サーフィンへの情熱から東京での大手企業を辞め県庁職員の道へ。
愛するサーフィンを軸に地元徳島の「地方創生」を展開するなど、心豊かな生活の秘訣を伺いました。

刻一刻と変わる波に挑む 

「グランドカフナ」クラス予選3ヒートに出場した新居さんが、ターゲットを定めた。迫り来る波にパドリングで合わせ、テイクオフ。低い重心から一気にショートボードに立ち上がると、波の頂で鋭角に切り返す。180cm69kgの研ぎ澄まされた肉体が魅せるアートに、ビーチは感嘆の声に包まれる。翌日の決勝進出が決まり「サーフィンは時間内に乗った中で上位2本が審査されるので、どの波に乗るかが重要になります」と新居さん。野球と水泳に打ち込んだ中学時代に人生を変える映画に出会った。カリフォルニアの海辺の町が舞台の「BIG WEDNESDAY」。ベトナム戦争で離れ離れになった若者が戦争後に再会し、夢だった世界最大級の波に挑むストーリー。故郷阿南市の富岡西高校から早稲田大学政治経済学部に進学し、本格的にサーフィンにのめり込んだ。刻一刻と変わる大自然が相手-。覚えた衝撃は、いつしか極めたいとの衝動に変わっていた。

SPORTforLIFE4回

恵まれた大自然を活かしたい

卒業後は大手情報サービス会社に就職し、希望の部署で社会人のスタートを切った。時代はバブル真っ只中。仕事は充実していたが、サーフィンの時間が減り息苦しさを感じ始めた。心の豊かさを最優先する形で退職を決意し、徳島県庁職員として再出発した。様々な部署を経て44歳で南部総合県民局企画振興部に配属されると、サーフィン環境を〝売り〟に修学旅行や企業の誘致、そして人材の受け入れに尽力した。「野球やサッカーではこの場所しかない、というのは聞きませんが、サーフィンは『このポイントで』とのこだわりがありますから」。サーフィン体験に修学旅行生は喜び、地元の宿泊施設、飲食店、お土産屋なども潤う。今では10社以上の企業が県南部に根付き、全国からサーフィンを愛する人材が集うという。東京生活の経験を地元に還元し、人と人との交流で地方創生を展開する新居さん。広がる海を眺めながら「地元を離れることで、地元の良さを再確認しました。サーフィンはもちろん、徳島の食材も全国に誇るべき味です。大自然の恵みを活かして徳島の活性化に貢献したいですね」と語った。

キッズイベントも大盛況

徳島大学サーフィン部によるキッズイベントが大会初日の3月5日(土)、宍喰海岸で開催された。「SunSunさわやかビーチクリーンゲーム」「ビーチサンダル跳ばし大会」「ビンゴ大会」に近隣の小中学生約20名が参加した。イベントに協力した徳島県海陽町職員は「大学生は子どもたちの良きお兄さん、お姉さんにあたります。幅広い年代での触れ合いは、子どもたちにとっても貴重な体験になるでしょう」。無邪気な歓声と笑顔がビーチに響き渡っていた。

新居さんに聞く

普段の生活での楽しみは?

新居家族との団らんですね。週末に家族と一緒にサーフィンを楽しみます。いくつになっても前日は「どのような波が来るのか」とワクワクしていますよ。また、何でも良く食べますね。食べ過ぎてしまうので、一日おきの筋トレは欠かしませんが。

競技を通じて得られたことは?

新居サーフィンで築いた人脈が、仕事やプライベートの全てに活かされています。東京での人脈も今でも大切ですし、年齢に関係なく交流できることがサーフィンの魅力ですから。

ワールドマスターズゲームズ2021関西について一言

新居もちろん出ます!オリンピック・パラリンピックもそうですが、メジャーな国際大会でサーフィンが競技種目に選ばれることで地位が向上することは嬉しく思います。

取材こぼれ話

将来は起業家を志していたという新居さん。県庁職員としての歩みは、彼を中心に鳴門名物・渦潮のような大きなうねりとなり「地方創生」へとつながっている。公私ともにサーフィンを満喫する現状に「ラッキーですよ」と謙遜する新居さんだが、サーフィンへの情熱と地元愛が伝わるからこそ周囲が心からサポートするのではないだろうか。52~58歳が対象のグランドカフナ。カフナ(Kahuna)はハワイ語で「波の神」とのこと。「今が人生で一番楽しいですね。幸せですよ」と言い切る52歳は、とても眩しかった。