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何ごとも諦めずに続けること、感謝することが「元気」の源

和歌山市の秋葉山公園県民水泳場で開催された「関西マスターズスポーツフェスティバル/第3回 秋葉山マスターズ水泳競技大会」に参加した桑山さん。
92歳にして「50m背泳ぎ」「100m背泳ぎ」の2種目出場を果たした桑山さんに、水泳の魅力と長寿の秘訣を伺った。

水泳との出会いで

「桑山さ~ん!頑張って~!」と、スタンドから黄色い歓声が飛び交う。92歳。大会最年長の桑山さんが「50m背泳ぎ」に登場した。ゆっくりとスタート態勢に入る。号砲とともに両腕をリズミカルに動かし水を掻く。浮力を生むためのダウンキック、推進力となるアップキック…。2013年に自ら樹立した大会記録1分16秒98にわずか「1秒55差」の1分18秒53でのゴールに会場は温かい拍手に包まれた。力強く手すりを握り、プールから上がると、ライバルと「いや、桑山さん凄いわ!」「いや、あんたこそ」と健闘を称え合い、仲良く手をつないで更衣室に引き揚げた。45歳の時にご主人を亡くされた桑山さんは「お悔やみを言われることも辛くて外出も控えていたら太ってしまって…」と苦笑い。数年後のある日、周囲から「あんたもそのままだと、危ないよ」と忠告され一念発起。故郷は本州最南端の町で有名な和歌山県串本町。幼少期から海や川が遊び場だった桑山さんは、52歳にして本格的に水泳の世界に飛び込んだ。

SPORTforLIFE4回

水泳仲間と人生を謳歌

「パルポート紀の川」の前身「紀の川スイミングスクール」に入り、週2日以上は水泳に励んでいる。80代半ばで脊柱管狭窄症を患ったが、手術し復活。バタフライが得意で「バッタの桑山」とのあだ名も、腰への負担を考慮し背泳ぎに転向。多くのスクール会員の仲間も〝看板娘〟の復活に励まされたという。70代、80代の会員をはじめ「桑山さんには負けられない」と相乗効果を生んでいる。水泳の魅力について「大会でハワイやオーストラリア、日本全国を周れることですよ。日本中の友達と会えることが楽しい」と笑顔で応える。桑山さんにあやかりたいと挨拶に訪れ、握手を求める競技者も多い。大会後の居酒屋での打ち上げや、スクール企画の忘年会、遠足などの行事を謳歌している。元気の源は「何事も諦めないで続けること、感謝することかな。良い方に考えると自然に楽しい顔になる」。桑山さんの挑戦は続く。

桑山さんに聞く

水泳以外の趣味は?

桑山ひょうたん型の池で鯉を36匹飼っていて、水を綺麗にするためにネットを1週間おきに洗ってね。元気なうちは綺麗にしてあげたいからね。新聞や小説も好きで、最近は芥川賞の又吉直樹の「火花」を読んだ。少量だけどお酒も好きですよ。

当面の目標や生きがいは?

桑山今年の夏に大阪でマスターズ大会があるので、そこで50mと100mの背泳ぎに出場することが目標かな。私は息子のお嫁さんや孫やひ孫、友達に恵まれている。みんなと楽しくワイワイ過ごすことが生きがいですね。

ワールドマスターズゲームズ2021関西について一言

桑山大会は5年後で、そうなると私は98歳になる年か…。先のことは分からないけど、パルポート紀の川との相談ですね(笑)。その時に元気でいられればね。

取材こぼれ話

足の爪には鮮やかな水色のペディキュアが光る。パルコート紀の川の足助コーチは「桑山さんはお化粧してスクールに来て、落としてからプールに入り、再びお化粧して帰ります」。聞けば、日本舞踊竹垣流師範であり90歳まで現役だったとのこと。水泳を通じて若者から流行の情報を収集・吸収し若さを保っているのかもしれない。取材中、桑山さんから「綺麗」との言葉を何度もお聞きました。いくつになっても「綺麗でいたい」との想いが、桑山さんの最大の魅力であり、若さと元気の秘訣かもしれません。